山﨑先生&椎原園長コラボレーション講演会報告(その1 椎原園長)

去る8月24日に福岡ECO動物海洋専門学校さまを会場に、山﨑恵子先生と大牟田市動物園園長の椎原春一先生のコラボレーション講演会が無事に開催終了いたしました。北は青森、南は宮崎まで幅広い地域から、様々な職種の皆さまにご参加いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

すっかり遅くなりましたが、講演会のご報告を3回に分けてアップさせていただきます。今回は「その1」として、椎原春一先生の「異なる他者との関わり方」を私なりにまとめさせていただきました。

椎原先生は、動物園で取り組んでいらっしゃる様々な事例を基に「個の生活の質を高める取組み」「福祉に配慮した飼育ができる職場環境をつくる」という二部構成でお話くださいました。


「個の生活の質を高める取組み」には

1、安心できる居場所があること 

モルモットさんと触れ合いの取り組みを事例にあげて「安心できる居場所があってこそ 学習 挑戦 は 進む」とのこと。※因みに大牟田市動物園さんのモルモットさんは自由意志でふれあい活動に参加します。行っても行かなくても、彼らには何の不利益も有りません。

2、動物に協力してもらう

レッサーパンダさんの歯磨きを筆頭に様々な動物たちの事例をあげて、彼らの協力的な行動を引き出すために、「安心安全に行える環境」「協力的な行動を (その子にとって何回も)行いたくなる環境」の提供を心掛けていらっしゃるそうです。それは結局「動物の負担やストレスが減る」と同時に職員さんや動物自身の事故を減らすことに繋がります。

3、必要な行動ができる環境の提供

種としての本来持っている行動が出来ないことは彼らにとって苦痛なので、できることを「制限」するのではなく、できることを「増やし広げる」ことを目指しておられるそうです。彼らを管理するのではなく「支援・援助」し、そのために彼らが居る環境の改善に取り組んでいらっしゃるそうです。言葉で言うと簡単ですが、こと動物園でそれを行うには、沢山のハードルがあると感じました。


「福祉に配慮した飼育ができる職場環境をつくる」取り組みとしては、

1、福祉に配慮したコンセプトを決め進み続ける 「動物福祉を伝える動物園」

2、身の丈に合った動物種数 頭数にする 「ぞうはいません」

3、動物の担当者を個人➡チームへ移行 「お互いの意見を伝え、お互いの折合い点を探す」

4、応用行動分析学( ABA)の視点を職員に取り入れた 「共通言語で話せる」

5、飼育現場の取り組みを公開・発信 「取り組みの計画➡経過➡失敗➡成功も全て公開」

の5項目を念頭に置いて、動物という異なる他者との関わり方を考える動物園へと進んで行きたいとのことです。同時に、大牟田市動物園が「動物福祉の推進(個を大切にすること)」と「動物園の発展」いう矛盾と、どう向き合っているかも、ありのまま伝えていきたいとのことでした。その為にも、バランスを取りながら両方を高める努力、矛盾と向き合い続けながら、新しい 視点 ・新しいモデルの検証をし続けて行きたい、とのまとめになりました。

第二部は山﨑先生より「動物にもっと敬意を」というテーマでお話しいただきました。

(その2へ、続きます)

その2 ↓

因みに、大牟田市動物園が舞台となった映画が11月に公開されます。ご興味がある方は、是非、こちらもチェックなさってみてくださいね!!

「いのちスケッチ」11月15日全国公開 (福岡は11月8日より先行上映)

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