冨澤奏子先生の講座が無事に終了いたしました!

たくさんの方にご参加いただき、「今だからこそ考えよう!動物園と絶滅危惧種」「だれちょこ*スピンオフ「犬のブリーディングと遺伝」」の二つの講座が無事終了いたしました。

今回、二回に分けて、講座のご報告をさせていただきます。とは言え、余りにも中身の濃い内容をお伝えすることは不可能ですので、是非、機会が有れば冨澤先生の講座にライブでご参加くださいませ!
先ず、今回は前半のお話を私なりにお伝えいたします。


「今だからこそ」、福岡県民としては、どうしてもお聴きしたかった「動物園と絶滅危惧種」のお話を、保全のご専門である冨澤奏子先生よりお伺いいたしました。

特にシロサイとゾウを中心に、お話していただいたのですが、先ずは彼らの種類から始まり、お写真を多用してご説明してくださいました。きっとご出席になった方は、ジャワ・スマトラ・インドの各サイを見分けることが出来るようになられたと思います(笑)。アジアとアフリカのゾウの違いも勿論です(笑)。

そして、ミナミシロサイとキタシロサイの生息域や生息数のデータが並べられ、どれだけ彼ら(何とキタシロサイは2頭の雌の個体のみ生存!)が絶滅の危機に瀕しているのかを分かりやすくご説明していただきました。

そこで、保全の観点から動物園で飼育・繁殖を…となるのですが、実際に飼育するにあたっての諸条件や、更には繁殖のための準備まで、実績のある海外の文献を例にとり、正に畳みかけるようなデータが並ぶ2時間半でした。


はい、受講された皆さまには、この子が何サイかお分かりですよね?(笑)
何とシロサイのお名前の由来は、お口の先の幅が広い「ワイド(Wide)」を、白「ホワイト(White)」と聞き間違えたことによるそうです!

動物のお名前には、こんな聞き間違いが由来になっていることが多いのだとか(笑)。

因みにシロサイの繁殖では「相手が選べること」と「広大な敷地」が重要で、少なくとも1頭のオスに2頭のメスが必要とのことです(ヨーロッパでは2頭のオスに3頭のメスを推奨)。

しかもオスのサイ1頭に必要な広さは100エーカー!!(因みに1エーカーは1200坪ほど。サッカーグラウンドなら100個分!)。

それにメスの分の広さを足して、複数の展示場を作って、もし妊娠したら、その間(妊娠期間は1年10ヶ月)別の施設を作って……動物園の敷地を全部、サイの施設にしても足りません。

しかも、そこまでやっても繁殖に至るかどうかは分からないのです。

ゾウも然りです。

これ、実際問題として日本の動物園で飼育できるレベルでしょうか?

なぜ、それでも動物園は希少種を導入し繁殖を目指すのでしょうか。これは是非、ご関係の皆さまから詳しくお話を聴かせていただきたいと思うのですが、(以下は全くの私見です)ひょっとしたら理由の一つに「そこでしか見れない」「可愛い子供が産まれました」というのが集客につながるからではないでしょうか。お客さまに来ていただかないと動物園の経営は成り立たず、結局それは、動物園に関わる全てのヒトと動物の存在を脅かします。


では、動物園を訪れる私たちには何ができるのでしょう。先ずは危機に瀕している彼らに関心を持ってもらうこと。情報を得た方から、一人でも二人でも広めていただくこと。先日、東京でお話を伺った飼育員さんは、ご自分の担当なさっている動物の写真がSNS等にアップされるだけで励みになる、と仰っていました。殊更に「動物園で素敵な取り組みがあります!」と言わなくても、ご関心を持っていただけるだけで有難いそうです。


奇しくもこれは、講座に参加してくれた古い友人が言った「これは動物の問題じゃなくてヒトの問題」という言葉に象徴されていると感じます。先ずは自分たちの問題だと、多くの方にご関心をお持ちいただくところから始まるのかなーと思いました。そしてその上で、本当に今、彼らに必要なことは何をすべきなのか、ということを私たちみんなで考えて行きたいと思いました。


シビアな話を、ふんだんに笑いをちりばめて、ノンストップでお話しくださった冨澤先生、それに最後までついて来てくださったご参加の皆さま、本当にありがとうございました。

だれちょこ*スピンオフ「犬のブリーディングと遺伝」は次回に続きます。

0コメント

  • 1000 / 1000